#41 まっしろ

#41

まっくずに
まっしろに
すすむのだ

この言葉は、まず「まっくずに」、すなわち全てを解体し、原形までひきずり下ろすことから始まります。これは自分自身のフィルターや先入観、固定概念を取り除くことを象徴しています。既成の枠を崩し、素の自分に向き合うことの大切さを示しているのです。

次に「まっしろに」。これは、解体した後の自分自身を純粋な状態、まっさらな状態に戻すことを意味します。このプロセスは、自分自身の本質や価値を見つめ直すためのもの。自分の内側に眠る可能性を見つけ、それを輝かせるためのステップなのです。

最後に「すすむのだ」。この言葉は、自己の進化と進行を命じるもの。傷ついたり、失敗したりしても、それを乗り越え、前に進む決意を示します。これはあなたが強く、自分自身を信じることができるという確信から来ています。

あなたはどんな状況でも自分を再定義し、前向きな視点を持つことができる。これは、あなたの中にある強大な力と、未来への希望を示すもの。

奏は陶芸家で、彼女の心には未だ見つけられぬ美が隠れていた。小さな工房が彼女の世界であり、無数の器が彼女の詩でした。

ある日、偶然目にした風景画に心を奪われました。静かな山々が醸し出す美に触れた奏は、その風景を陶器に彫り込むことを決意しました。

だが、理想と現実は遠く、山々を形作ることは困難を極めました。何度挑んでも、器はただの器でしかなく、彼女の心に描いた風景とはかけ離れていました。

奏は全ての失敗作を目の前に、深く息を吸いました。「まっくずに」とつぶやきながら、粉々になるまでその器を叩き壊しました。割れた破片は新たな粘土と混ざり合い、新たな生命を得ました。

「まっしろに」。彼女は新たな粘土を前に宣言しました。それは純粋な白さを帯び、未来への期待を予感させました。そして、奏は再び挑みました。

日が昇り、日が落ち、奏は粘土に向き合い続けました。心に浮かぶ山々の風景を手と技術で表現しようと試みました。そしてついに、待ち望んだ風景が器に生まれ変わった瞬間が訪れました。

「すすむのだ」と彼女は言いました。奏の心の中に湧き上がる喜びと満足感を、彼女の作品が見事に表現していました。

展覧会では彼女の作品が高評価を受け、一躍注目の作家となりました。だが何よりも、奏は自分自身の美を見つけ出し、新たな可能性を感じることができました。その勇敢さと続ける力が彼女の人生を豊かに彩りました。

おしまい