はじめに
どうもウルスです。今回はデリバリービジネス。主に持ち帰り・配達飲食サービス業についてです。
デリバリー（持ち帰り・配達飲食サービス業）とは
デリバリーサービスとは、通常、飲食品や商品を顧客の指定した場所（通常は家庭や職場）へ直接配達するサービスを指します。デリバリーは、レストラン、カフェ、スーパーマーケットなど多くの飲食店や小売業者によって提供されています。
デリバリーサービスは二つの主要な形式があります：
- 直接デリバリー：これは特定の店舗（例えば、ピザチェーンや中華料理店など）が自身のデリバリーサービスを運営している場合です。お客様は直接店舗に注文を通じ、店舗自身のスタッフが商品を配達します。
- 第三者デリバリーサービス：これはUber EatsやDoorDash、Grubhub、Deliverooなどのような会社が運営するサービスです。これらの会社は、多くの異なるレストランや飲食店から注文を受け付け、自社の配達員を使って商品を顧客に届けます。このモデルは顧客にとっては多くの選択肢を提供し、店舗にとってはデリバリーインフラを自前で持つ必要がなくなるというメリットがあります。
これらのデリバリーサービスは、スマートフォンアプリやウェブサイトを通じて注文ができ、支払いも同様にデジタルに行われます。これにより、顧客は注文プロセスを容易にし、また自宅で食事を楽しむことができます。
「持ち帰り」サービスはデリバリーと似ていますが、違いが一つあります。それは商品の配達が行われないことです。代わりに、顧客は注文を店舗に直接持って行き、完成した商品を自分で持ち帰ります。このモデルは、配達に関連する費用を省くことができ、また、自分で商品をピックアップすることが可能な顧客にとっては便利な選択肢を提供します。
以上がデリバリーサービス（持ち帰り・配達飲食サービス業）の基本的な概要です。このビジネスモデルは、現代の生活スタイルや技術の進歩、特にスマートフォンの普及と相まって、急速に広がっています。
デリバリーの歴史
デリバリーサービスの歴史は、その起源を著しく異なる文化と時代に遡ることができます。以下に主要な進化とキーポイントを網羅的にまとめてみましょう。
古代時代から19世紀まで
デリバリーサービスの最も初期の形式は、おそらく古代の文明に起源を持つでしょう。古代のローマでは、富裕な市民や貴族が家政婦を使って家庭に食品を運ばせていました。また、中国の飲食店ではおそらく数千年前から食事を配達していました。
20世紀初頭
近代的なデリバリーサービスは、20世紀初頭のアメリカでより一般的になりました。ピザのデリバリーは、その最も象徴的な形式であり、1950年代に始まりました。大手チェーンのDomino's Pizzaは、1960年代にビジネスモデルとしてデリバリーを採用し、その名声を確立しました。
21世紀初頭
インターネットの出現と普及により、デリバリーサービスは大きく進化しました。2000年代初頭には、飲食店が自身のウェブサイトを通じて直接注文を受け付けることが一般的になりました。これにより、電話をかけて注文する必要がなくなり、消費者にとっては選択と便利性が増しました。
2010年代
2010年代には、Uber EatsやDeliveroo、DoorDashなどの第三者デリバリーサービスが登場しました。これらのサービスは、一つのアプリケーションやウェブサイトを通じて、多数の飲食店から注文を受け付けることができるようにしました。これは飲食店にとっては新たな販売チャネルを提供し、消費者にとっては選択肢と便利性を大幅に増加させました。
2020年代とCOVID-19
2020年代には、新型コロナウイルス（COVID-19）のパンデミックが全世界に広がり、デリバリーサービスは前例のない重要性を持つようになりました。レストランが店内飲食を制限または停止せざるを得なかったため、多くの店舗が生き残るためにデリバリーに依存するようになりました。この状況は、デリバリーサービスの利用を促進し、その影響力と範囲を広げることにつながりました。
以上のように、デリバリーサービスは長い歴史を経て現在の形になりました。テクノロジーの進化と社会の変化に対応しながら、引き続き進化し続けることでしょう。
デリバリー市場の市場規模
ざっくりですが8000億円程度の市場とのこと。
引用：Kichen BASE
デリバリー市場の課題
デリバリー市場は急速に成長していますが、以下に述べるような課題に直面しています。
価格圧力
デリバリーサービスは、配達員の給与、車両のメンテナンス、燃料費、インフラの維持管理、などの複数の要素によりコストが発生します。これらのコストは全て、顧客が支払う配達料金に反映されます。しかし、消費者は配達料金が高すぎると感じる場合があり、これが頻繁な利用を抑制する可能性があります。
さらに、これらのコストは変動する可能性があり、特に燃料価格や人件費の上昇などは直接配達料金に影響を与えます。それに対応して配達料金を引き上げると、さらに消費者にとっての負担が増え、利用率が下がる可能性があります。
また、デリバリー企業は競争が激しい市場で生き残るためには、価格競争を避けることが難しい場合があります。これは利益率の低下を引き起こし、ビジネスの持続可能性に影響を与える可能性があります。
したがって、価格圧力はデリバリーサービスにとって大きな課題となっています。適切な価格設定とコスト管理が求められますが、それが難しい場合、デリバリー企業は新たな収益源を見つけるか、より効率的な運営方法を模索する必要があるでしょう。
人件費
デリバリーサービスは、車両のメンテナンスや運営のためのコストをカバーするだけでなく、大量の配達員を雇用することも必要です。これには給与だけでなく、保険やその他の福利厚生、教育・トレーニングコストなども含まれます。
配達員をフルタイムで雇用する場合、これらのコストはかなり高くなります。このため、多くのデリバリーサービス業者は配達員をパートタイムや契約労働者として雇用し、人件費を抑える努力をしています。
しかし、このような人件費の抑制策は社会的な問題を引き起こすこともあります。パートタイムや契約労働者として雇用されると、配達員はしばしば労働者保護法の対象外となり、低賃金で長時間働くことを強いられる可能性があります。
さらに、新型コロナウイルスのパンデミックの影響により、配達員は感染リスクを高める状況下で働かざるを得ないこともあります。これらの労働条件は、配達員の労働者の権利と安全に対する懸念を引き起こしています。
このような背景から、配達員の適切な待遇と安全を確保しながら人件費を管理することは、デリバリーサービス業界にとって重要な課題となっています。解決策としては、より効率的な運営方法を模索することや、配達員の労働環境改善を通じて生産性を向上させることなどが考えられます。
競争の激化
デリバリーサービス市場は急速に成長しており、その結果、新しい企業が次々と参入しています。大手プレーヤーであるUber EatsやDoorDashなどはすでに広範囲にサービスを展開していますが、それと同時に、地元のレストランや飲食店が自前のデリバリーサービスを開始するなど、競争はさらに激化しています。
これは一方で、市場の飽和によるサービスの品質低下や価格競争を促進し、それぞれの企業の利益率を圧迫する可能性があります。また、消費者は選択肢が増える一方で、適切なサービスを選択するのが難しくなるかもしれません。
社会的な背景としては、新型コロナウイルスのパンデミックが大きな影響を与えています。レストランや飲食店が臨時休業や営業時間短縮を余儀なくされ、デリバリーサービスへの依存が高まりました。これにより、新規参入者が増え、市場競争が加速しました。
また、テクノロジーの進化も競争の激化を促しています。モバイルアプリやGPSトラッキング、人工知能などの技術の進化により、新規参入が容易になり、顧客体験の向上が可能になっています。
これらの背景を考えると、デリバリーサービス業界は、競争に勝つために独自の強みを活かし、サービスの品質向上や効率的な運営、顧客体験の向上に取り組むことが求められます。また、新たな価値提供やパートナーシップを模索することも有効な戦略となり得ます。
利益率
デリバリーサービス業界は、一般的には非常に低い利益率のビジネスとされています。これはいくつかの要素によるものです。
- 運営コスト：デリバリーサービスは、配達員の給与、車両維持費、燃料費、そしてインフラのコスト（アプリの開発と維持、顧客サポートなど）を含む高額な運営コストが発生します。これらのコストは全てが利益に直接影響を及ぼし、しばしばその利益率を下げます。
- 価格競争：前述したように、競争が激しい市場では価格競争が避けられません。しかし、価格を下げることは利益率に直接影響を及ぼし、その結果、ビジネスの持続可能性に影響を及ぼす可能性があります。
- レストランとの分配比率：デリバリーサービスはレストランからの注文料金の一部を手数料として取得しますが、その比率は地域や契約によって異なります。レストラン側がその比率を下げるよう求めることは、デリバリーサービスの利益率に影響を与えます。
これらの要素を考慮に入れると、デリバリーサービス業界が直面している一つの大きな課題は、利益率を改善し、持続可能なビジネスモデルを構築することです。それを達成するためには、運営の効率化、独自の価値提供による顧客のロイヤルティ向上、そして新たな収益源の開拓など、さまざまな戦略が必要となります。
食品の品質管理
デリバリーサービスにおける食品の品質管理は、業界の大きな課題の一つです。注文した食品が消費者の手元に届くまでの間に、温度管理や衛生管理など、さまざまな要素が関わってきます。
- 温度管理：デリバリーされる食品の品質を保つためには、適切な温度で保管・運送することが重要です。特に、温かい食品や冷たい食品、冷凍食品はその温度を維持することが品質に直結します。しかし、長距離の配送や配送時間の長さなど、様々な要素が温度管理を難しくすることがあります。
- 衛生管理：デリバリーサービスでは、食品が調理場所から消費者の手元に届くまでの間に、その衛生状態を保つことが必要です。しかし、配達員の手やデリバリーバッグ、配送車両など、多くの可能性のある汚染源と接触する可能性があります。
- 配送中の損傷：激しい運転や不適切なパッケージングにより、食品が配送中に損傷を受ける可能性もあります。これは消費者の満足度を低下させ、再注文率に影響を及ぼす可能性があります。
これらの課題を解決するためには、配達員の適切なトレーニング、食品専用の運送機器や高品質なパッケージングの使用、そして配送プロセスの改善などが求められます。また、技術の進化も助けとなり、例えば、温度センサーや追跡可能なパッケージングなどにより、品質管理の改善が可能になると考えられます。
労働者の権利問題
デリバリーサービス業界における労働者の権利は、近年、社会的議論の中心になっています。これは主に、「ギグエコノミー」（一時的、フレキシブルな仕事を行う労働者によって構成される労働市場）の中でデリバリー労働者が直面している困難に関連しています。
- 仕事の安定性：多くのデリバリー労働者は契約労働者やフリーランスとして働いており、定常的な雇用や給与の保証がありません。これは労働者にとって不安定な状況をもたらします。
- 賃金：デリバリー労働者の賃金は、配達した注文の数や距離に基づいて決まることが多く、一定の時間給が保証されているわけではありません。また、利益率の低い業界であるため、労働者への賃金が抑制される傾向にあります。
- 労働条件：デリバリー労働者は長時間、悪天候、高リスクの交通状況など、困難な条件下で働くことが求められます。さらに、労働者は自己の健康や安全に対するリスクを自分自身で負担することが求められることが多いです。
- 社会保障：契約労働者やフリーランスとして働くデリバリー労働者は、従業員として働く者が享受する社会保障（健康保険、失業保険、退職金など）を受けることが難しい場合があります。
これらの課題に対応するためには、政策の改善、企業の労働環境の改善、そして社会的認識の高まりが必要です。すでに一部の地域では、デリバリー労働者を「従業員」とみなす法律が制定されている一方で、企業も労働者の待遇改善に向けた取り組みを始めています。しかし、これらの問題はまだ解決にはほど遠く、引き続き注意が必要な課題となっています。
サステイナビリティ
デリバリーサービス業界は持続可能性についての課題に直面しています。これは環境影響、パッケージングの廃棄物、そしてエネルギー効率に関連しています。
- 環境影響：デリバリー車両は大量の二酸化炭素を排出し、地球温暖化に貢献します。これは特に、伝統的なガソリンやディーゼルを使用する車両の場合に顕著です。
- パッケージングの廃棄物：飲食物のデリバリーは大量の使い捨てパッケージングを生成します。これらの包装材はしばしばリサイクルされず、大量の廃棄物となり、地球上の汚染を増加させます。
- エネルギー効率：多くのデリバリー車両は燃料効率が低く、大量のエネルギーを消費します。これはサステイナビリティとは逆の方向に向かっており、改善が必要です。
これらの課題に対応するためには、以下のようなアプローチが考えられます：
- 電動車両の導入：電動車両は伝統的なガソリンやディーゼル車両と比較して大幅に低い二酸化炭素排出量を持ちます。これにより、デリバリーサービスの環境への影響を軽減することが可能です。
- 持続可能なパッケージングの使用：バイオディーゼルやリサイクル可能な材料を使用したパッケージングは、デリバリーサービスが生成する廃棄物の量を削減します。
- ルート最適化：適切なルート最適化により、デリバリー車両が移動する距離を最小限に抑え、燃料消費と二酸化炭素排出を減らすことができます。
これらの施策を実施することで、デリバリーサービス業界は自身の環境への影響を軽減し、サステイナビリティを向上させることが可能となります。
テクノロジーへの依存
現代のデリバリー市場は、携帯アプリ、GPS追跡、ルート最適化アルゴリズムなど、多くのテクノロジーに大きく依存しています。これらのテクノロジーは、サービスの効率と便利さを大幅に向上させますが、同時に新たな課題も引き起こします。
- システム障害：テクノロジーに頼ることで、システム障害やダウンタイムが業務への重大な影響を及ぼす可能性があります。一時的な障害でも、配達が遅れる、注文が失われる、または全体的な業務が停止するなどの結果を招くことがあります。
- セキュリティとプライバシー：デリバリー業界は、顧客の個人情報、クレジットカード情報、現在の位置など、多くの敏感なデータを取り扱っています。これらの情報を安全に保つための適切なセキュリティ対策が必要で、また、データの悪用を防ぐためのプライバシー規定の遵守が求められます。
- テクノロジーの利用能力：すべての顧客や労働者が最新のテクノロジーを適切に利用できるわけではありません。デジタルリテラシーの低い人々や、最新のスマートフォンを持っていない人々は、デリバリーサービスを利用するのに苦労するかもしれません。
これらの課題を克服するためには、堅牢で信頼性の高いITインフラストラクチャの開発、強固なセキュリティ対策の実施、そして顧客と労働者のテクノロジー利用能力を向上させる教育の提供などが必要です。このような取り組みにより、デリバリーサービス業界はテクノロジーへの依存という課題を管理し、これからも成長し続けることが可能となります。
AI活用法
近年、AI技術は多くの業界で活用されており、デリバリー市場もその例外ではありません。AIはデリバリー業務を効率化し、顧客サービスを改善し、新たなビジネス機会を生み出す可能性を秘めています。
以下に、AIがデリバリー市場でどのように活用されているかの具体例をいくつか挙げます：
ルート最適化
AIは大量のデータを分析し、配達ルートを最適化するのに役立ちます。これにより、運送時間と燃料消費を削減し、配達効率を向上させることが可能です。
需要予測
AIは過去の注文データや季節のパターン、特別なイベントなどを考慮に入れて、将来の需要を予測します。これにより、企業は必要な人員と在庫を適切に調整し、顧客のニーズを満たすことができます。
顧客サービスの向上
AIチャットボットや音声アシスタントは、顧客の問い合わせに対応したり、注文を受け付けたりすることが可能です。これにより、顧客は24時間いつでもサービスを利用することができ、企業は人件費を削減することができます。
自動運転配達
AI技術は、無人の配達ドローンや自動運転車両の開発を可能にしています。これらの技術はまだ初期段階ですが、将来的には配達業務を大幅に変革する可能性があります。
これらの例からわかるように、AIはデリバリー市場において多大な利益をもたらす可能性を持っています。しかし、その一方で、データプライバシー、セキュリティ、そして労働市場への影響といった課題にも対処する必要があります。
さいごに
気持ちもデリバリー
衣食住ってありますけどここに心も入れておいた方がいいですね。
2023 届け ウルス